『英国VOGUE 100年目の戦い』上映と字幕監修者富川淳子氏による解説 (2018年9月29日開催)

■ 出版教育研究部会 開催要旨 (2018年9月29日開催)

『英国VOGUE 100年目の戦い』上映と字幕監修者富川淳子氏による解説

富川淳子 (とみかわあつこ)
(跡見学園女子大学文学部現代文化表現学科)

 雑誌作りの現場を記録した映像は少ない。とはいえ日本でも劇場公開されたドキュメンタリーは2本ある。それはアメリカのファッション誌『VOGUE』の現編集長のアナ・ウインターのファッション界への影響力を示す『ファッションが教えてくれること』(2009年公開)、そして20世紀のファッション界に大きな功績を残したファッションエディター『ダイアナ・ヴリーランド 伝説のファッショニスタ』(2012年公開)である。

 そこに2017年12月、『VOGUE』イギリス版創刊100周年目の編集部を追った『英国VOGUE 100年目の闘い』が加わった。前作の2本と同様、編集長に焦点を当て、さらにファッション誌編集部にはどんな肩書の編集者がいるのか、いいファッション写真とはなにか、編集長の権限とはなど、なかなか知りえない編集者や編集部内の日常も描かれている。その点からも雑誌および出版研究者にとっては有益な情報源となると思われる。ただ、イギリスのBBCが制作したこのDVDは上記の2本と異なり、一般公開はしていないし、レンタルDVDも用意されていない。しかも映像教材として授業や学校図書館、学会の研究会などで無償上映できるように版権をクリアしているため、上下2巻(上映時間100分)でなんと8万円もする。

 そこで出版教育研究部会では『英国VOGUE 100年目の闘い』の上映を企画。このDVDの日本語字幕版監修を担当した富川淳子が映像の見どころのほか、アメリカの『VOGUE』が1916年に初の海外版としてイギリス版を出版した事情や現在のアメリカ版とイギリス版との関係などの説明付きの試写会である。

 土曜日の午後、ファッション編集部を舞台にしたドキュメンタリー映画の上映会ということもあり、出版やファッションを学ぶ学生の参加が多かったのは喜ばしいことであった。しかし、上映後に日本における海外提携のファッション誌の歴史や現状、問題点などの解説をする予定であったにもかかわらず、時間に限りがあり、実行できなかったのは残念である。海外提携誌に関しては、別の機会に発表させていただきたいと思っている。

日 時: 2018年9月29日土曜日15時30分~17時30分
場 所: 跡見学園女子大学文京キャンパス 2605教室
参加者: 計60名 会員11名、非会員26名、富川ゼミ23名