MIE研究部会準備会「中学校における雑誌編集教育の実践報告ほか」(2019年3月27日開催)

■ 出版教育研究部会/雑誌研究部会 共催 開催要旨(2019年3月27日開催)

MIE(マガジン イン エデュケーション)研究部会準備会
「中学校における雑誌編集教育の実践報告ほか」

 出版教育研究部会・雑誌研究部会共催で、発表者は植村八潮(専修大学、会員)「学校図書館における雑誌所蔵の実態調査」、野口武悟(専修大学、会員)「学校教育における学校図書館と雑誌の可能性」、有山裕美子(都留文科大学/工学院大学附属中学・高等学校司書教諭、会員)「中学校における雑誌編集教育の実践報告」だった。
 植村からは、学校図書館での雑誌所蔵実態調査の結果が報告され、学校図書館での雑誌のプレゼンスが心もとないことが報告された。また統計から小中高生・大学生の雑誌読書率が激減していること、年少時に雑誌を読んでいないなら大学生や社会人になっても読まないので小学生のときからの雑誌読書習慣が大切であることが示された。
 野口からは新「学習指導要領」でフィーチャーされている「主体的・対話的で深い学び」(大学教育ではアクディブ・ラーニングと称される)に基づき授業改善をしていく上で、探究の入り口として雑誌が利用でき、また発表形式として雑誌作成が有効であることが報告された。一方、指導要領では、生徒自らが学校図書館を利用して課題を調べるための資料として書籍・新聞は挙げられ予算化もされているが、雑誌は言及されず抜け落ちている問題点も指摘された。
 有山からは、工学院大学付属中学校での雑誌作成を授業に取り入れたMIE の実践について報告があった。総合的な学習の時間を使い、中学2年生が両国を取材し、A4見開き4pの「探究マガジン」を制作した。レイアウトはページレイアウトのアプリケーションPagesをつかい、作品は印刷して配布、その後、デジタル出版のツール、ロマンサーで電子書籍化した。次のステップとして、東北・広島方面へ向けてプロジェクト・ツアーを行い、4人一組で8ページ、計136pの雑誌も作成した。雑誌作りでは、情報収集だけでなく、記事の書き方やプレゼンテーション方法も学習できた。また、取り組みの過程においては、仲間と共同作業を行うことにより、ともに協力しあいながら学びを深めることができた。
 本研究会への参加者は、出版実務者、業界団体、研究者、図書館関係者からバランスよく集まった。3名の報告後は、以下のような質疑応答と討議がなされた。①授業のなかで雑誌を教材として活用する方法について。②雑誌作りの実践的授業の教育成果について。③雑誌制作を生徒・学生に指導するための標準的なマニュアルが必要であること。④雑誌を授業に取り入れるためにいかに小中高教員の理解を得るのか。また、雑誌が売れないという状況のもと、⑤将来の雑誌読者を育てるという観点からのMIEの必要性も指摘された。
 以上、MIE研究部会を設立する意義と方向性が共通認識化された研究会となった。次回は4月25日に開催する予定。

参加者: 17名(会員10名、一般7名)
会 場: 専修大学神田キャンパス5号館541教室

(文責:清水一彦)