大学における出版教育  蔡 星慧 (2009年2月27日)

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■ 出版教育研究部会   発表要旨(2009年2月27日)

大学における出版教育の視座から考える
理論と実践,歴史認識,そして出版学について


1.報告の趣旨
 大学における出版教育,出版学をいかに体系化していくか。大学によって理論を重視する所もあり,現場の視点や実践的なスキルを重視する所も見られるが,出版教育もメディアとして,コミュニケーションの過程として広く捉えるべきではなかろかと考える。とりわけ歴史と理論,出版界を巡るマクロ的な環境と諸要因を視野に入れた実践的な教育を併行していくことを志向している。

2.授業の中心軸
 授業ではPower Pointのレジュメや関連資料及びその都度関連記事やデータを配布,新刊,具体事例を紹介している。学生参加型の授業を志向するため,関連記事や事例,学生と議論する場を設けている。
 授業を通じて学生たちができる限り出版界の変化にアンテナを張る習慣を身につけ,自ら批判力と知見を持つ授業を目指す。
 授業の内容は理論と歴史をベースに置いた上で,出版界を巡るマクロ的な環境の変化を他メディアとの共通性,独自性について触れることで,知的空間,文化としての出版メディアを理解する。加えて実践的な内容として出版物が作られ,読者に届くまでを,送り手と受け手,コンテンツ,形態として捉え,過程としての製作プロセスを間接的に実感する。本作りと雑誌編集のプロセス,エディターシップの意味合い,雑誌の特集記事,出版物が作られる現場の実例を紹介することで,作り手としての出版物を見る観点について考える。課題となる「ミニ・マガジン」製作と関わり,グループを組んでから,作りたい雑誌の企画と目次案を提出してもらい,課題製作に入る。

3.求められる方法論と課題
 今後は文化・社会学的な視座を踏まえたメディア,コミュニケーションとしての出版,出版の現状を知るフィールドワーク的なアプローチから出版メディアを伝える方法論を工夫し,出版教育と出版学に対する積極的な認識を持ち続け,出版教育の質的充実化を試みたい。できれば,「出版論」において過程としての出版を総合的に触れた上で,別途「編集論」のような実習製作的なカリキュラムを設けたい。今回の報告をきっかけに大学における出版教育の内容を把握し,出版教育のあり方,出版学について考えるアプローチとして出版関連講座のシラバス内容を調査・研究してみる課題も残る。
(蔡 星慧)