書籍販売代行業の現場レポート「書店と人と本の販売」  西川恵美子(2006年11月28日)

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■ 出版流通部会   発表要旨 (2006年11月28日)

書籍販売代行業の現場レポート「書店と人と本の販売」

 2006年11月28日,2006年度の第2回出版流通研究部会,西川恵美子会員による書籍販売代行の現場レポート「書店と人と本の販売」が八木書店・会議室で開かれ45名の参加を得た。

「書店と人と本の販売」
 西川恵美子
1.「販売代行業」を始めた経緯
 関西で理論社の営業を長い間,してきました。東京へ引越をしたいと考えていた時に,東方出版の稲川部長と出会い,今の仕事へと広がっていきました。1996年4月1日から,E・E企画としてスタートしています。
 社名のE・E企画は,尊敬する小宮山量平氏にお願いすると「これからは自分の名前で生きていきなさい」とのメッセージと一緒に「エミー企画」とハガキに書いてありました。このEと「地球」のEを併せてE・E企画としました。
2.日常業務について
 当時の契約版元の関係で,人文・芸術・旅行ガイドの棚を中心に考えました。ガイド系の出版社は,どこでも営業できる強みがありますから,訪問件数も要求されました。
 訪問件数は,東京を中心に神奈川・千葉・埼玉で200件くらい,その中でも定期的に訪問するのは100件くらい。
 今は,全体で120書店,その中で,60件くらいを定期的に訪問しています。週5日稼動すると考えて,月1回:週に2回,隔週:週3回という基準で考えました。
 売り上げの30~40%を占める首都圏は,大型書店が山手線沿線,中央線沿線に多く有ります。新刊を大事に売りたいと思うからこそ,「1ヶ月の営業日数を下さい。無理ならせめて20日は,2週間欲しい。」とスタートした時から出版社へ言い続けて来ました。
 営業に必要な名刺には,当初,「かもがわ出版・京阪神エルマガジン社・東方出版・朱鷺書房・ユニプラン」の5社が記入されており,2000年12月に人文書院,ナカニシヤ出版との契約,2003年5月に法蔵館との契約をして,「かもがわ出版・人文書院・東方出版・朱鷺書房・ナカニシヤ出版・法蔵館」の今の形となりました。
3.出版社との付き合いかた
 東京と関西という具合に,良い距離を保って仕事をしています。
 今は,携帯という便利なものがありますので,確認の必要な時は,直ぐにその場で処理します。
 フエア情況や担当者の作ったPOPなども携帯の写メールで,直ぐに伝えることが可能になりました。
4.書店人との付き合い
 担当者が,とても元気な書店だと棚も手が,充分に入っているからなのでしょうか,色鮮やかに目に飛び込んできます。逆に,常備で棚がいっぱい「取次の配本があるからそれでいい」という書店の棚は,反対にくすんで見えます。不思議です。多分,意識の問題だと思っています。
 小さな書店でとても面白い棚を作っている所もあります。担当者の思いが伝わったりします。
5.本の売れ方・売り方
 紀伊國屋新宿本店で1Fの入口ワゴン初回の搬入が100冊,6面出しで販売をして貰った事があります。その時,調査役の野本さんから「100冊は100冊の売り方があって,300冊は300冊の売り方がある」と言われた事が,ありました。担当者を売る気にさせる事・本気にさせる事で,確実に売り上げにつながります。この担当者を売る気にさせる,ファンにさせる事で,増売につながります。
6.楽しいフエア企画
 今,大学生協2ヶ所,東大駒場と早大生協コープで,京都人文系出版社フエアを実施しています。POPなどさまざまな工夫をして,一冊を売る事の意味と大事さを思い知らされました。展示の仕方など,良い勉強になりました。
7.これからの課題
 そのひとつが,新刊の見本出しの件です。一生懸命担当者と話をして,初回の冊数を取り決めしても,追加扱いになってしまったり,見本1冊しか入荷しなかったりします。その度に,新刊の入荷確認作業をしながら,状況に合わせて仕事をします。
 取り引き先である書店の力量を知ること,自社書店リストの確立と配本パターンの確立です。また,高額本販売やネット書店との付き合い方の模索も課題のひとつです。
 元気の良い担当者と知り合い,お互い元気を交換し合い,考える力,感じる心を培いながら,これからも仕事に立ち向かい続けたいと思っています。
(文責:下村昭夫)