2011年度事業計画(2011年4月~2012年3月まで)

2011年度事業計画(2011年4月~2012年3月まで)

 1969年に設立された日本出版学会は,学術研究団体として,確固たる地位を築きつつある。デジタル・ネットワーク社会における出版メディアのあり方は劇的に変化しており,出版研究の重要性はますます高まり,新たな段階に到達しているといえよう。
 そこで当学会は,従来の出版研究の諸分野の活動を以下のように継続・拡大するとともに,学会設立45周年を記念した事業に対して取り組み,次の世代に対する責任を果たしたいと考えている。

1.研究活動のネットワーク化の拡大

 1984年10月に最初の国際出版研究フォーラムが韓国ソウルで開催された。以来,四半世紀の間に我々は様々な交流を通じて,より内容の深められた議論を行う段階に到達している。国際フォーラムの継続運営や海外在住会員との恒常的な連携,また部会活動を通じた国内の研究者間のネットワークにおいても同様である。我々はこの方向を踏襲して歩みたい。

2.会勢と財政の充実

 当学会は当初66名の発起人によって設立されたが,現在,会員数は400を越えるに至った。しかし,学術研究団体としては決して多い数ではなく,その社会的使命を果たすためには,より多くの会員を擁することが必要と思われる。日常の活動や各種の刊行物を通じて,会員の獲得,会勢の充実を期したいと考えている。
 また,学会財政は長期にわたって出版産業の経済活動が停滞していることも要因となって,厳しい状況にある。ここ数年の事務局体制の見直しや経費節減の取り組みによって,現在は均衡を保っているものの,3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響が長期化するなかで,中・長期的観点からは予断を許さない状況にある。今後,さらなる経費節減を進めるとともに,早急に学会財政の充実を図る必要がある。

3.事業

(1)調査研究の推進
・研究部会活動の推進
 当学会の活動がその規模に比較して活発であることは,多様な部会活動にあるといえよう。一方で,一部に活動が停滞している部会もみられることから,今年度は再編統合も含めて部会活動を見直すことで,会員の期待に応えるべく,さらに積極的な部会活動が行われるように努力したい。
・研究発表会の拡充
 春季および秋季研究発表会において積極的な発表が続いており,活発な議論が行われている。また時代の研究課題に応えるシンポジウムの企画や基調講演もあり,毎回,多数の参加者を数えている。今後とも,学術的水準の向上の観点から,研究発表会をより充実させるべく努力したい。

(2)学会誌の発行
『出版研究』 第42号の企画・編集を進め,年度内の発行を予定する。

(3)広報活動の充実
・『日本出版学会会報』
 本年においては3号の発行を予定し,内容の充実を図る。
・ウェブサイトの拡充
 ウェブサイトの情報発信力を高め,会員間の情報交換を密にする。また会報との連動によって学会の公知化に資することとする。

(4)日本出版学会賞の審査・授与
 学会創立10周年を記念して創設された日本出版学会賞は,その後,20周年,30周年,35周年記念事業の中においても位置づけられ,毎年の経常的事業として継続されている。

4.特別事業(45周年記念事業)

 学会創立45周年を記念する事業を行うこととする。今回の周年事業は,その内容と特性から単年度の事業としてではなく,今後,複数年度の計画とし,下記事業を予定する。詳細については,日本書籍出版協会の相賀昌宏理事長(小学館)を委員長とする「創立45周年記念事業委員会」を設立して実施に移すこととする。

(1)第15回国際出版研究フォーラムの日本誘致
 第12回国際出版フォーラムは,35周年事業として東京経済大学の共催を得て,2006年に開催された。その費用捻出のために周年事業募金活動が行われた。2012年に予定されている「第15回国際出版研究フォーラム」に向けて,同様な計画を策定する。

(2)募金活動
 以上の事業を可能とすべく,当学会は当面3年間にわたる募金活動を行う。詳細については特別委員会において検討されるが,募金活動はあらゆる機会をとらえて積極的に行い,上記事業の実現を期すこととしたい。

(3)フューチャーブックストアフォーラムへの参加
 日本出版インフラセンターが提案者となって採択された経済産業省の平成22年度書籍等デジタル化推進事業「書店を通じた電子出版と紙の出版物のシナジー効果の発揮」を検討するために設置された「フューチャーブックストアフォーラム」(肥田美代子会長)の検討に,川井良介会長以下の理事が参加する。

(4)本の学校出版産業シンポジウムへの協力
 7月の東京国際ブックフェアに合わせて開催される「本の学校出版産業シンポジウム」に協力する。