国際シンポジウム「コミュニケーションとしての出版」  川井良介(会報119号 2007年3月)

■ 大きな成果の国際シンポジウム「コミュニケーションとしての出版」

(会報119号 2007年3月)

 川井良介

 第12回国際出版研究フォーラムは,昨年10月,東京経済大学の共催を得て,国際シンポジウム「コミュニケーションとしての出版――変貌する東アジアの出版と文化」として開催された。
 大学側は,小生や駒橋恵子会員などが実行委員会を組織した。一方,出版学会側は,遠藤千舟副会長が実行委員長となり,シンポジウムの具体的企画・連絡・実施を全面的にリードした。
 このシンポジウム開催にあたっては,植田康夫会長をはじめとする会員諸氏のご尽力により,国際交流基金やユネスコ・アジア文化センターばかりか,書協,雑協など日本の出版界を代表する諸団体の後援を得ることができた。
 また,メディアの関心を惹いたのか『出版ニュース』などの専門紙誌だけでなく,『朝日新聞』『毎日新聞』『信濃毎日新聞』の一般紙にも開催の告知記事が掲載された。
 シンポジウムの内容は,予稿集を参照していただきたいが,発表は国内12本,国外11本の計23本に及び,その予稿集も日英中韓の4ヶ国語からなり,その分量も532頁に及んだ。参加者は214名を超えた。
 今回のシンポジウムの大きな特徴は,東京経済大学との共催もあって,質の高い翻訳や同時通訳が提供できたことかもしれない。これと,中国の市場経済化の反映もあってか,これまでになく,3ヶ国の発表者の論議が,噛みあうという望ましい効果を生みだした。
 ちなみに,翻訳に当っては,会員の吉田公彦顧問,藤本信彦,蔡星慧,王萍のみなさんの多大な協力が得られた。この場を借りて,お礼申し上げます。
 ところで,シンポジウムの参加者に,その感想を募ったところ,「個別の発表だけでなく,共通するテーマについて討論が展開されたのはよかった。予稿集も,よく整理されていて,よい資料になった」(教育関係者),「討論の時は,同時通訳が入っていたので,即時に理解することができた」(会社員),「司会の駒橋助教授による発言者からの意見の引き出し方,討論のテーマの絞り方が良かった」(経営コンサルタント),「韓中の経済発展にともない,日韓中の出版コンテンツの相互乗り入れが,(言語障壁を除いて)実現しているのを強く感じる」(出版関係者)などの意見が寄せられた。
 また,このシンポジウムについて,『日本経済新聞』の読書欄に「コンテンツ大国の日本―日中韓の出版探るシンポ」(2006年11月12日付)という論評記事が掲載された。

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