2024年度事業報告(2024年4月1日~2025年3月31日)

1.概 況

 1969年3月に設立された日本出版学会は、創立から55年をむかえ、新たな時代への歩みを進めている。これまで設立の理念と志を尊重し、円滑な研究者の交流や情報交換をおこない、研究成果の発表のために、学会誌や会報の発行、研究発表会や各種の部会活動、そして国際出版研究フォーラム(IFPS:The International Forum on Publishing Studies)への参加を継続的におこなってきた。
 これらが可能となったのは、何よりも学会を構成する会員の方々の努力と、経済的な支援をはじめ様々な便宜をはかっていただいている賛助会員の方々のご協力の賜物であり、ここに改めて深甚なる感謝の意を表したい。
 2024年度における日本出版学会の活動は、それまでの研究や人的交流の蓄積に基づいて着実に進められ、出版研究に対する関心は一層高められた。
 特に学会創立55周年記念事業を実施するため、2023年6月に、日本出版クラブ会長・デジタル出版者連盟代表理事の野間省伸氏(講談社社長)を委員長とする「創立55周年記念事業委員会」を設立し、準備および募金活動をおこない、2024年11月8日に日本出版クラブで創立55周年記念講演会・祝賀会を、翌11月9日に東京経済大学にて第21回国際出版研究フォーラムを開催した。
 また、2024年6月8日には、日本大学法学部神田三崎町キャンパスで、春季研究発表会を開催し、参加者111名、4名の研究発表、2つのワークショップ、1つの緊急シンポジウムをおこなった。
 
2.会員数

正会員        263名
賛助会員    法人  29社
名誉会員         2名
        (2025年3月末日現在)
 
3.総 会

 2024年総会は、2024年6月8日、日本大学法学部神田三崎町キャンパスで91名(委任状を含む)の会員が出席、2023年度事業報告、同決算、同特別会計決算、2024年度事業計画案、同予算案、同特別会計予算案をそれぞれ審議・可決した。
 
4.理事会

 2024年度の会務をおこなうため、2023年総会から本総会に至るまでの間、理事会を下記のとおり開催した。
 第1回: 2024年6月8日
 第2回: 2024年6月27日
 第3回: 2024年9月13日
 第4回: 2024年12月13日
 第5回: 2025年3月5日
 第6回: 2025年5月2日
 第7回: 2025年5月31日
 
5.調査研究委員会

 調査研究委員会は、主として各部会間の連絡調整にあたった。各部会の活動状況は次のとおりである。
(1)学術出版研究部会
 今後の研究課題、部会運営について検討をおこなった。
(2)雑誌研究部会
10月9日(筑波大学東京キャンパス+オンライン)「明治後期における教育ジャーナリズムの実態と小学校教員にとっての意義」ピーテル・ヴァン・ロメル(日本出版学会賞 受賞記念講演会、出版史研究部会 共催)
10月30日(オンライン)「「プラットフォーム型雑誌」『ゼクシィ』の再検討――情報誌研究の可能性に着目して」彭永成(日本出版学会賞 受賞記念講演会、出版史研究部会 共催)
(3)出版アクセシビリティ研究部会
2月25日(専修大学神田キャンパス+オンライン)「生成AIを用いた電子書籍の図版説明の実証的研究」仁科哲、他(主催:画像電子学会 VMA研究会、視覚・聴覚支援技術研究会)
(4)出版技術研究部会
5月15日(科学技術館 1階展示ホール)「デジタル対応製本とスマートファクトリー」Horizon Smart Solution Fair 2024 in 東京 見学会
2024年6月10日(専修大学神田キャンパス)「宮田印刷による活版印刷の取組と精興社活版印刷(ビデオ上映)――山口一郎『ことば』『ことば2』(青土社刊)の印刷を題材に」山本千香
12月6日(上智大学四谷キャンパス+オンライン)「いま、学術書にできること――『杉浦康平と写植の時代』をケーススタディに」阿部卓也(日本出版学会賞 受賞記念講演会、出版史研究部会 共催)
(5)出版教育研究部会
2月15日(オンライン)「知られざる出版業界の巨人・図書館流通センター」谷一文子(出版産業研究部会・関西部会 共催)
(6)出版産業研究部会
10月9日(八木書店本社ビル)「「紙の本」とは何かを考える――高橋文夫氏の『スマホ時代と「紙の本」』から」高橋文夫
2月15日(オンライン)「知られざる出版業界の巨人・図書館流通センター」谷一文子(出版教育研究部会・関西部会 共催)
(7)出版史研究部会
10月9日(筑波大学東京キャンパス+オンライン)「明治後期における教育ジャーナリズムの実態と小学校教員にとっての意義」ピーテル・ヴァン・ロメル(日本出版学会賞 受賞記念講演会、雑誌研究部会 共催)
10月30日(オンライン)「「プラットフォーム型雑誌」『ゼクシィ』の再検討――情報誌研究の可能性に着目して」彭永成(日本出版学会賞 受賞記念講演会、雑誌研究部会 共催)
12月6日(上智大学四谷キャンパス+オンライン)「いま、学術書にできること――『杉浦康平と写植の時代』をケーススタディに」阿部卓也(日本出版学会賞 受賞記念講演会、出版技術研究部会 共催)
(8)出版デジタル研究部会
9月8日(オンライン)「デジタル出版物制作の教育活用」有山裕美子・徳永修・鷹野凌
(9)出版編集研究部会
10月16日(オンライン)「科学読み物の企画・編集――〈岩波科学ライブラリー〉を中心に」濱門麻美子
(10)出版法制研究部会
7月27日(オンライン)「ジャーナリズムを立法・司法・行政に並ぶものと位置づける考え方について」塚本晴二朗
(11)翻訳出版研究部会
6月8日(日本大学法学部神田三崎町キャンパス)「AI時代の翻訳出版――現在そしてこれから」安部由紀子・山田優・高橋聡・冨田健太郎(春季研究発表会ワークショップ)
9月27日(文京シビックホール)「専門書翻訳をアートする――翻訳のプロでない者にできること」北野収
(12)MIE研究部会
2月6日(跡見学園女子大学文京キャンパス+オンライン)「履修生の声から考えるMIEの「わかりやすい指導」――学生たちは何に苦心して、何を学んだか」白石彩絵・篠原麗・寺尾香乃・徳永里奈・中村茉生子・中村悠海・米村莉乃
(13)関西部会
2月15日(オンライン)「知られざる出版業界の巨人・図書館流通センター」谷一文子(出版教育研究部会・出版産業研究部会 共催)
 
6.プログラム委員会

 総務委員会と調査研究委員会によって構成される合同委員会を開催し、研究発表会の企画・運営に当たった。

(1)春季研究発表会(2024年6月8日、日本大学法学部神田三崎町キャンパス)
〈研究発表〉
1.「京都芸術大学芸術学部文芸表現学科における雑誌編集の5年間 実践と課題」中村純
2.「叢書論――岩波書店「哲学叢書」「続哲学叢書」の成立過程を事例に」大澤聡
3.「出版史から見た坪谷善四郎関係資料」長尾宗典
4.「近世小謡本の編集方法――京都・大坂・江戸・地方の版元に見る時代的・地域的特色」原 八千代
〈緊急シンポジウム〉
1.「「書店・図書館等関係者における対話の場」の再検証――学会と出版界連携によるエビデンスに基づく研究の意義」大場博幸・植村八潮・菊池壮一
〈ワークショップ〉
1.「AI時代の翻訳出版――現在そしてこれから」安部由紀子・山田優・高橋聡・冨田健太郎
2.「出版統計・データの現状と問題点――フレームと収集の再検討」柴野京子・古幡瑞穂・鷹野凌
 
7.日本出版学会賞

(1)受賞図書・論文
 第45回日本出版学会賞は、下記のとおりである。
【日本出版学会賞】
阿部卓也 著『杉浦康平と写植の時代――光学技術と日本語のデザイン』(慶應義塾大学出版会)
【日本出版学会賞奨励賞】
ピーテル・ヴァン・ロメル 著『「田舎教師」の時代――明治後期における日本文学・教育・メディア』(勁草書房)
彭永成 著『『ゼクシィ』のメディア史――花嫁たちのプラットフォーム』(創元社)
(2)日本出版学会賞審査委員会
 日本出版学会賞審査委員会は、第46回日本出版学会賞の審査にあたった。
(3)受賞記念講演会
10月9日(筑波大学東京キャンパス+オンライン)「明治後期における教育ジャーナリズムの実態と小学校教員にとっての意義」ピーテル・ヴァン・ロメル(出版史研究部会・雑誌研究部会 共催)
10月30日(オンライン)「「プラットフォーム型雑誌」『ゼクシィ』の再検討――情報誌研究の可能性に着目して」彭永成(雑誌研究部会・出版史研究部会 共催)
12月6日(上智大学四谷キャンパス+オンライン)「いま、学術書にできること――『杉浦康平と写植の時代』をケーススタディに」阿部卓也(出版史研究部会・出版技術研究部会 共催)
 
8.『出版研究』編集委員会

 『出版研究』編集委員会は、学会誌『出版研究』の企画・編集にあたり、第54号(A5判、200頁、600部、定価:本体2,600円+税)を2024年4月に発行し、引き続き第55号(A5判、600部、定価:本体2,600円+税)の編集をおこなった。
 
9.広報委員会

 広報委員会は、学会活動に関する対外的広報活動を随時おこなうとともに、学会案内の作成、および『日本出版学会会報』の企画・編集にあたり、次の各号を発行した。
第156号=24頁、2024年5月31日(700部)
第157号=28頁、2024年10月10日(700部)
 また、公式ウェブサイトの充実をはかり、情報発信をおこなった。
 
10.関西委員会

 関西委員会は、関西部会の運営にあたった。
 
11.国際交流委員会

 国際交流委員会は、2024年11月8日に日本出版クラブで開催した創立55周年記念講演会、11月9日に東京経済大学で開催した第21回国際出版研究フォーラム(IFPS)の企画・運営をおこなった。

〈創立55周年記念講演会〉
1.「韓国の出版・書店支援政策と書店ビジネスモデルの革新」白源根
2.「ジャンプ・マンガのデジタル化の歩みと海外への挑戦」細野修平

〈第21回国際出版研究フォーラム〉
テーマ:「出版のデジタル化とグローバリゼーション:新たな出版学のために」
〈第1セッション:表現/編集制作〉
1.「デジタル時代教科書出版の発展における五問」梁威
2.「AI時代の出版編集の未来」金希柱
3.「デジタルアーカイブ時代のエディトリアルとは:人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)とジャパンナレッジの共同プロジェクトを手がかりに」鈴木親彦・山崎隆広
〈第2セッション:流通/配信、技術〉
1.「AI時代の出版プロセス再構築と技術応用」張立科
2.「人工知能(AI)の時代「出版流通市場」の変化と展望」李完洙
3.「出版学における木版口絵研究のためのデジタルアーカイブデザイン」常木佳奈
〈第3セッション:思想、歴史、文学〉
1.「中国ネット文学の海外進出:その歴史・現状と発展戦略」陳丹
2.「韓国文学の過去・現在・未来:AI時代の新しい出版文献分野の方向性」朴朦救
3.「角筆から考える出版との関わり」近藤友子
〈第4セッション:法・制度〉
1.「融合出版の実践と考察」徐雁龍
2.「出版コンテンツ法・制度の診断と争点:AI時代の出版コンテンツ保護のための戦略」文智惠
3.「「読書バリアフリー法」施行後の成果と課題――出版界の取組みを中心に」野口武悟
 
12.「産学連携」プロジェクト

 創立55周年関連事業として、出版文化産業振興財団(JPIC)が2024年10~11月にかけて主導する本のイベント「BOOK MEETS NEXT 2024」と相互に連携し、イベントの活性化と新たな人材交流を図った。
 
13.役員(2026年度総会まで)

会長=清水一彦
副会長=柴野京子 中西秀彦 山崎隆広
理事=飛鳥勝幸 安部由紀子 池下花恵 牛山佳菜代 榎本周平(事務局次長) 梶原治樹(事務局長) 駒橋恵子 鷹野凌 田上雄大 玉川博章 塚本晴二朗 長尾宗典 中村幹(財務担当) 福嶋聡 星野渉 本多悟 村木美紀(事務局次長) 元永純代 森貴志 矢口博之 湯浅俊彦
監事=植村八潮 富川淳子
 
14.委員会メンバー

(◎=委員長・部会長、○=副委員長)
(1)総務委員会=◎柴野京子 牛山佳菜代 榎本周平 梶原治樹 清水一彦 中西秀彦 中村幹 村木美紀 森貴志 山崎隆広
(2)調査研究委員会=森貴志
学術出版研究部会=◎森貴志
雑誌研究部会=◎玉川博章 田島悠来 彭永成
出版アクセシビリティ研究部会=◎野口武悟 池下花恵(担当理事)
出版技術研究部会=◎矢口博之 ○中村幹
出版教育研究部会=◎本多悟 伊藤民雄
出版産業研究部会=◎鈴木親彦 星野渉(担当理事)
出版史研究部会=◎長尾宗典
出版デジタル研究部会=◎鷹野凌
出版編集研究部会=◎飛鳥勝幸 小林えみ 吉田拓歩
出版法制研究部会=◎田上雄大
翻訳出版研究部会=◎安部由紀子
MIE研究部会=◎元永純代 ○牛山佳菜代
(3)『出版研究』編集委員会=◎塚本晴二朗 阿部圭介 石沢岳彦 上田宙 織田太郎 田上雄大
(4)広報委員会=◎牛山佳菜代 石川徳幸 秦洋二
(5)関西委員会/関西部会=◎中西秀彦(委員長・部会長) 村木美紀(副委員長) 中村健(副部会長) 福嶋聡 森貴志 湯浅俊彦 磯部敦 秦洋二 山中秀夫
(6)国際交流委員会=◎山崎隆広 植村八潮 榎本周平 富川淳子 星野渉
(7)日本出版学会賞審査委員会=◎清水一彦 富川淳子 石川徳幸 石田あゆう 柴野京子 鈴木親彦 玉川博章
(8)プログラム委員会=◎駒橋恵子