出版フィールドワークプロジェクト(Publishing Field work Project、略称「PFP」)は、出版業界の知られざる歴史を書き記すために立ち上がった、業界若手の有志によるプロジェクトである。中小版元の多くは研修や学びの機会が少ない。上製か並製かを判断する基準は? 常備の必要性とは? ネット書店にどれだけ力を割くべきか? 大なり小なり、日々の悩みは尽きない。そうした実践知に飢えている私たちが、長く出版に携わってきた先達の率直な語りを聞くことで、知られざる業績と技術を明らかにしていく。
暗黙知や経験則、出版人としての心構えやその人が生きた時代を言葉として残すことが目的のため、「何をやったか」だけでなく、「どうやってのけたのか」という行為のプロセスを聞き出すことに注力する。出版社内の部署で言えば、編集者だけでなく、営業や製作など、あらゆるセクションの人々から話を聞く。また出版社に限らず、書店や取次、版権会社、製本所など出版を取り巻くさまざまなステイクホルダーも対象としたい。
また、本がさまざまなアクションによって「本」になっていくさまも記録したい。著者の思い付きが、編集、紙屋、組版会社、印刷所、製本所、営業、倉庫会社、取次、書店などのさまざまな「アクション」を通じて本は「本」となっていく。その行程と執念を人々に開き、本の持つあらゆるメディアに対する優位性を提示する。本はどこからきてどこへ向かうのか? これからさまざまな出版人から伺うであろう細かい日々の業務を通じて、本というメディアの復権を目論む「ブック・イン・アクション」構想も私たちの目指すところである。
