出版研究のハブとしての出版学会へ(2019年創立50周年に向けて)

■出版研究のハブとしての出版学会へ(2019年創立50周年に向けて始動) 

2015年度の日本出版学会・秋季研究発表会は、会場を大阪から初めて古都・奈良へ移し、2015年12月5日(土) に奈良女子大学にて行われ、二分科会7テーマの研究発表とシンポジウム「出版のパラダイム転換と歴史へのまなざし」が報告された。

 とリわけ、シンポジウムは、大きな関心を呼び、昨年を上回り、50名の参加者で熱心な議論が展開された。この成果は、出版史研究部会や関西部会の「出版史の手法を討議する」という連続部会の成果に裏打ちされたものであり、シンポジウムのまとめの言葉「出版研究のハブとしての出版学会へ(2019年創立50周年に向けて)」という呼びかけに、多くの共感が寄せられた。

秋季研究発表会の会報報告は、2016年3月ごろになる予定であり、ここでは、速報としてお知らせすることにしたい。

以下、研究発表のプログラムである。 

[プログラム]
《研究発表 第1分科会》 S棟227教室
13:00 「戦前週刊誌の連載小説の変遷:『サンデー毎日』の編集機能」
        中村健(大阪市立大学学術情報総合センター)
13:30 「戦時下の少女雑誌――芹沢光治良『けなげな娘たち』を例に」
        中川裕美(愛知教育大学 非常勤)
14:00 「ライトノベル雑誌がもたらしたメディア横断的な物語受容と創作
        ――『ドラゴンマガジン』の事例を中心に」
        山中智省(滋賀文教短期大学)
14:30 「大宅壮一の活動における「集団」に関する考察」
        阪本博志(宮崎公立大学)

《研究発表 第2分科会》 S棟228教室
13:00 「電子書籍の音声読み上げ機能を活用した読書アクセシビリティの保障」
        湯浅俊彦(立命館大学文学部)
13:30 「児童・YA向け作品の電子書籍化の状況:緊デジリストの分析を通して」
        植村八潮・野口武悟(専修大学文学部)
14:00 「Book Interchange Tag Suite(BITS)の多言語対応提案」
        中西秀彦(中西印刷株式会社・学術情報XML推進協議会)

 《会長あいさつ》 S棟228教室
15:20 芝田正夫
《会場校あいさつ》 S棟228教室
15:25 鈴木広光

《シンポジウム》 S棟228教室
15:30 「出版のパラダイム転換と歴史へのまなざし~出版研究の新たな展開に向けて」
      問題提起者  柴野京子(上智大学)
      討論者    磯部 敦(奈良女子大学)
      進行     中村 健(大阪市立大学)
 〔シンポジウム概要〕
 出版・書物の大転換期である現在,出版史の動向が注目されている。
 出版学会における出版史研究のひとつの到達点『日本出版史料』10巻(日本エディタースクール 1995-2005)から10年。出版メディアを研究対象とする学問領域が広がる一方,研究資料もデジタル公開されるなど研究環境も大きく変わった。出版研究の「ハブ」となるべく,どのように課題に取り組むべきか,議論をすすめたい。