活版実習 (2014年10月26日)

■出版技術・デジタル研究部会 実習概要(2014年10月26日)

活版実習――活字組版と校正を体験する

 印刷博物館の印刷工房「活版の家」において,インストラクター6名の指導のもと,参加者で武井武雄「私がはじめて作った本」全文(『本とその周辺』中央公論社,昭和35年発行,所収)の本文部分を,頁ごとに分担して組版を行った。本文は12ポイント明朝体で16字詰め7行である。
 作業台は10箇所セッティングされており,各台で2人ずつ(最大20名)作業できるようになっている。各人のスペースには,ひらがなと句読点の活字ケースが置かれていた。最初に,使用する漢字を拾ってから,各人の作業台でひらがなと句読点を拾い,インテルとともにステッキに順番に並べていくという手順で作業を行った。それぞれ1頁分の植字ができたところで,校正機で刷ってもらい,校正を行った。
 工房内の和文活字は,すべて五十音順配列になっており,未経験者でも簡単に探せるよう工夫されている。
 扉,奥付などの頁や,表紙(武井武雄のカットを樹脂版で配したもの)は,あらかじめ工房で作成してあり,全部の頁の組版が揃ったところで,本文16頁分の組み付けを行った。
 11月下旬,A3判用紙に両面刷りされた本文用紙と,A5判用紙に刷られた表紙用紙(50部)が完成し,田中の手製本(中綴じ)を経て,参加者および関係者に配布を行った。
※2014年度第2回研究部会,参加者16名(会員3名,非会員13名)。
(文責:田中 栞)