2003年度事業計画(2003年4月~2003年3月まで)

2003年度事業計画(2003年4月~2003年3月まで)

 産業界をめぐる経済的な不況は,その科学的な分析や対応策を求める人々をむしろ結集させ,新たな研究活動の意欲を高めつつある.当出版学会における会員数の増加や研究成果の充実はそのことを示していると考えられる.
 我々はこのような状況の中で,与えられた使命を果たすべく,当期においては,つぎのような課題を重点として取り組むこととしたい.

■ 1.研究支援活動の強化

 当学会の役割は,研究を志す会員の研究活動をより円滑に行うことができるようにし,学会の活動を支援する賛助会員の必要とする情報を提供することによって,学術と産業相互の交流と発展を目指すところにある.当学会においては,近年比較的若い世代の研究者の参加が急増し,彼らの研究と発表の機会,さらには,それらの成果を実践する場が求められるようになっている.当学会においては,これらの研究者たちを経済的に支援するところにまではいたっていないが,広く研究者のネットワークを学界や産業界に求め,より実りのある研究活動ができるように支援し,その役割を強化したいと考えている.

■ 2.学会活動の公知化

 当学会は,前期において日本学術会議の第19期登録研究団体として登録を行い,学術研究団体としての認定を受けている.これは形式的な認識以上に,日常的研究活動によってその役割を実質的に社会に向け公知化することが必要であることも意味している.出版が人間の歴史上重要な役割を果たしたように,出版について研究することは人間について研究することであり,その意味は過去ばかりでなく,未来にも及ぶものと考えられる.ウェブサイトや各種の出版物,研究会や部会の開催を通じてより多くの人々を結集し,多様な議論と研究の深まりを期すことが当学会の課題である.

■ 3.財政の強化

 前期においては,正会員の増加と熱意ある賛助会員の協力によって一定水準の必要は満たされたものの,一部会員による会費納入の遅延により,今後の学会財政はなお予断を許さない状態となっている.これらを克服するために,正会員による会費納入を促進することはもちろん,出版活動等の学会独自の事業によって,自主財源の確保を行いたい.

■ 4.事 業

1.調査研究の促進
(1)研究活動の支援
 学会員の研究課題に対する側面的支援を行うと同時に,内外の専門家による情報交換等を行う.
(2)部会活動の強化・充実
 当学会の部会活動は,デジタル出版部会等に見られるように,学会活動の活性化や会勢の拡大,研究自体の深まり等に大きく貢献し,成果をあげてきた.しかし,既存の部会間には活動の水準に差があり,見直しが必要とされている.学会としては,過去のものにこだわることなく,新しい時代の要求に応えるべく,これらの部会活動の見直しを行いたい.
(3)研究発表会の開催
 学会全体の研究会として位置づけた従来の関西地区研究会は成功し,発表内容や参加者も質量共に充実しつつある.春季研究発表会と共にこの方式は定着しつつあると思われ,今後共継続したい.
(4)関西支部研究活動の継続
 関西支部における学会活動は,年々その重要さを増しつつあり,学会規約において正当に位置付けることによって,今後共その活動を学会全体で支援し,拡大したい.

2.出版活動
(1)学会誌『出版研究』
 出版研究の推進のために『出版研究』の果たした役割は絶大であり,当期においては編集・制作体制を強化し,投稿規定のさらなる整備を行うとともに,第34号の発行を行う.
(2)『日本出版学会会報』
 学会活動の記録として,あるいは研究情報の交換の上からも,『会報』は今後も継続し,当期においては3号の発行を予定する.

3.国際交流の促進
 当期においては,中国武漢において計画されている第11回国際出版研究フォーラムに協力し,発表者,参加者を積極的に募り,単に東アジアのみならず,広く欧米諸国からの参加も呼びかけたい.

4.日本出版学会賞の審査・授与
 日本出版学会賞は,当初創立20周年記念事業において制定され,30周年記念事業の中で継承された重要な事業であり,当期においては第25回日本出版学会賞の審査・授与を行う.また,今後の継続のための財政措置についても検討を行う.

5.その他
(1)出版事業関係
 2002年度に第7号を刊行した『日本出版史料』を継続し,第8号の編集・発行を推進する.また,その他の出版物についてもその実現を目指して積極的に取り組む.
(2)その他
 当期においては役員の任期が満了となるので,選挙管理委員会を組織し,新役員の選出が行われることとなる.

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